10年程前から、高齢者の操作ミスによる交通事故が社会問題になっています。
事故車にトヨタ プリウスが多いことから、
「プリウスミサイル」とネットでは揶揄されることも。
地方自治体が高齢者に運転免許証の自主返納を案内したり、
子どもが親に運転させないように、キーを取り上げてしまうこともあるようです。
垣谷美雨の小説「うちの父が運転やめません」では
運転が怪しくなってきた、地方に住む父親を心配する息子を描いています。
地方では、交通手段が自家用車に限られることもあり、
高齢でも運転をやめられない人がたくさんいます。
同じ不安を持つ人も多いのか、小説は人気になっています。
ところで、本当に高齢者の運転はすべて”危険”なのでしょうか?
高齢ドライバーの運転診断・リハビリ技術の開発に携わる
国立山梨大学 伊藤安海准教授によると、
「年齢よりも、個人差が大きい」とのこと。
高齢者だからといって、すべてのドライバーの
運転機能が衰えて危険というわけではないと言っています。
統計によると、近年、高齢者の事故は減少していることがわかっています。
内閣府データ
令和元年は前年よりも死亡事故は減少。
コロナ禍の令和2年、3年はもっと減っている可能性が高いです。
自動車保険も、高齢者だからといって、保険代が高くなることはありません。
高齢はリスク要因ではないことが、ここからもわかります。
一方、若い人はどうなのでしょうか?
未成年者の自動車保険は高額です。
免許を取ったばかりなので、保険の等級が低いこともありますが、
運転経歴が浅い人は、事故率が高く、また、若い人はスピードの出し過ぎなど、
危険運転を起こしやすいことが、高額となる理由です。
また、最近は自動車に興味を持たない若者が増えました。
東京など都心の大学に通う学生はともかく、
地方大学でも運転免許証を取らない学生も多くいます。
大学関係者の方に話を聞くと、スクールバスの運行は必須とのこと。
学生の多くは大学の近くに住むか、スクールバスで通学し、
就職が決まり、会社から「入社までに免許を取ってきてね」
と言われ、慌てて免許を取りに行っています。
もちろん、免許を取ったからと言って、
車を買って、毎日運転するというわけにもいかないので、
入社してから、本格的に車を運転するということがほとんど。
運転に不慣れなのは当然として
学生から社会人、新しい環境、初めての人間関係、知らない土地、
等のストレスも多く、
どの企業でも、若い新入社員ほど、交通事故を起こしてしまうようです。
毎年新卒者を100人規模で採用する製薬会社の営業社員は、
配属後1年間ドラレコの装着が義務づけられています。
同じようにやっている会社は他にもあり、
「若手社員の事故」に悩む企業は多いのです。
雇用延長、再雇用などの制度が整い、
会社内で、60歳以上の”高齢者”が働くことは珍しくなくなりました。
これからも増え続けるでしょう。
彼らに「運転は危険なので控えるように」
というのはあまり必要ないと思います。
もちろん、体の機能は衰えていくので、
定期的な検査は必要ですが、
運転の機会を奪ってしまい、業務に支障が出るのは、
もったいないことだと思います。
一方、若い新入社員は、十分すぎるほど
運転についての配慮が必要です。
1人で行動させない
長距離、長時間運転をさせない
スケジュールに余裕を持たせる
車の安全装備を充実する
ドラレコを付ける
などです。
若い社員は自分だけで計画を立てることは難しく、
無理してしまうこともあります。
先輩や上司と行動計画を共有するなどをして、
運転への配慮をしてほしいものです。